未来なきアーケードゲーム業界、敵は家庭用ゲームか?

確かに、今更何をと思われる話題かもしれない。
家庭用機器の機能向上で、アーケードゲームは質の変化を迫られた。高級化、体感ゲームの台頭、カードゲームの台頭、リアルタイム通信といった家庭用にない機能を盛り込み、継続してプレイを促す面白さでどうにか食いつないできた。新作が一堂に会するイベントも行われ、年末に向けまた盛り上がる…はずであった。
多様な機器が揃い、多くの人が集まって遊ぶ場所として生きながらえてきたアーケードゲームが今、イベントの話題ですら表に出ないという非常事態を迎えている。


昨日9/14の「Wii Preview」は多くの人々が固唾を呑んで見守ったものと思われる。かくいう筆者もそのひとりであるが、同日にアーケードゲームの見本市「AMショー」が初日(業者日)を迎えていた。
世間の注目度は前者の方がはるかに上なのは明らかで、今日は新聞の1面でもWiiの話題を掲載している。
ファミ通の最速情報ブログも当初はAMショーの話題を掲載していたが、午後1時半までに更新された内容は、やれコンパニオンがどうだ、という内容の無いものがほとんどであった。
そのブログも話題がWiiに移ると、更新当初は記事のタイトルから「Wii」の文字が消え、もうAMショーのことは眼中にありませんという構え(現在はタイトルに文字が付加されている)。実際、「Wii Preview」での発表は期待を大きく膨らませるものであったことは、ネット上の反応を見ても明らかといえる。
対するAMショーでの注目作は、巨大なドーム型画面を持つ筐体に乗り込んでガンダムを操って戦う「~ 戦場の絆」や、もともと狭い市場であったカードゲームをアーケードに持ち込んで客層拡大を狙った「アクエリアンエイジ」くらいであった。他は続編や版権ゲーム、何匹目かわからないドジョウを狙った「脳」ものなどで、目新しい動きもほとんどなかった。新生コンパイルの新作「の~みそコネコネパズル たころん」もWiiでの発売がすでに決定しているなど、いつにも増してお寒い内容であった事は否定できない。
このためAMショーの話題は、Wiiの下に完全に埋没した。
何よりも驚いたのは、WiiのバーチャルコンソールにMSXのソフトが参入するという事実が、完全にネットの話題をさらっているという事実。今日、Wiiとは直接関係のないはずである「MSX」が、「はてな」の注目キーワードでなんと2位になっていた。公演中では一言しか触れられなかった上、世間的に失敗とまで言われたMSXが、である。アーケードゲームはすでに蚊帳の外という印象だ。
追い討ちをかけるかのごとく、AMショー2日目となる今日は、セガがコンシューマ戦略発表会を行っている。当然、注目ハードであるWii、DSのソフトも展示されている。アーケードマシンに関与していない任天堂はともかく、アーケードも事業の柱であるセガがなぜこのようなことをするのか、理解に苦しむ。
確かに、AMショーは実際にゲームをするプレイヤーよりも、ゲームの納入先である業者がターゲットのイベントである。しかし、プレイヤーに話題が提供できないと、プレイヤーからも「あのゲームが欲しい」という提案が店側にできない。プレイヤー間で話題にならないのでは、判断材料が失われる。
土曜日に一般入場日も設定されているわけではあるが、この状態では業者日の情報を見て、「見に行ってみようか」というプレイヤーも減るのではないか。
同じく飛躍していくべきアーケードゲーム、家庭用ゲーム。しかしイベントの日取りひとつとっても、家庭用ゲームはアーケードゲームを潰しにかかっているようにしか見えない構図だ。
少なくともイベントの日くらいはお互いを避けるものだと思っていたのだが、今回ばかりはあまりにも酷い。
筆者はアーケードゲームが好きだ。しかし、この現実の厳しさには思わず目を覆いたくなってしまう。
任天堂が仕掛けたパラダイムシフトは、意外な方向に向かっている気がする。
それは「外でなく」「家のみんなで」ゲームをしよう、という任天堂が発表した「新しい生活」に見え隠れしているようで…。

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